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癌とたたかうために

手術療法

第一選択の治療法です。限局された病変の場合は、切除してしまうことで根治が期待できます。現在の所、はっきりと根治が可能な治療法としては、手術療法だけです。手術方法も進歩して、進行がんといわれる状態であっても、かなりの確立で根治できるようになってきました。なお、最近は内視鏡による切除術など、患者さんに対する侵襲の小さい方法も開発されてきております。

化学療法

手術療法と組み合わせる方法と、単独で行われる場合があります。

副作用があるため、嫌われることも多い。しかし、副作用を最小限に抑えて投与方法を工夫することで、QOLの高い延命効果が認められる場合も少なくありません。ホルモン依存性乳がんなど、一部のがんは、その成長にホルモンが関与していますので、ホルモン療法を用います。

放射線療法

手術による方法との組み合わせや、単独の照射の方法もあります。がんの種類によっては、手術療法と同じくらい根治が期待できる場合もあります。ここに放射線療法とあなたと題して、丁寧な説明があります。参考にして下さい。最近では、周囲の正常細胞の被爆をできるだけ少なくするため、様々な照射方法が考えられています。近年、X線よりも線エネルギー賦与の高い次のような粒子線照射療法が登場してきました。

速中性子療法

低速中性子捕捉療法 陽子線照射療法 重粒子線治療

BRM療法

がんと宿主側との相互反応に着目し、宿主のがん細胞に対する応答能を変化させることによって、治療効果の上昇を期待する治療を、生物学的応答修飾物質(biochemical response modifiers, BRM)療法と呼ぶ。BRMは宿主のがん細胞に対する免疫能の向上を期待するような免疫療法をはじめ、抗腫瘍活性を有するリンパ球、リンホカイン活性化キラーや、がん浸潤リンパ球を用いた治療、さらには、抗がん剤による損傷(副作用)に対する宿主の抵抗力を上昇させる治療など、幅広い応用例がある。この中でも、有効性がもっとも確実に評価され、一般的な応用が進んでいるのが、顆粒球コロニー刺激因子を用いた宿主の抵抗力を高める治療法であろう。旧来の免疫療法に関しては、有効性に疑問のもたれるものもあり、評価は一定していない。

温熱療法

温熱療法は熱という物理的手段を用いて生物学的にがんを抑制する試みである。41℃以上の温熱は放射線あるいは抗がん剤の効果を増強する。

このため、温熱療法は通常の治療法では治癒に導くのが困難な照射後再発がんや局所進行がんなどの難治性腫瘍に対して用いられる。

緩和療法

がんは局所に発生するが、進行に伴って患者さんに食欲不振、疼痛、高熱、腹水などを来し様々な苦痛をもたらします。従って、腫瘍の縮小のみを治療の目標にするのではなく、延命効果や生存期間のQOLの維持、向上をもたらす医療が必要となっている。そうした、根治を目指すわけではないが、患者の苦痛を除去しQOLを高めるためのがん治療を意味する。

がんに関する高度先進療法

様々な実験的・先進的医療が、高度な技術を持つ医療スタッフと、質・量ともに十分な施設・設備をそなえた施設で行われています。特定の条件を満たして、これらの高度先進医療の実施を承認された病院を「特定承認保険医療機関」といいます。その多くは大学病院ですが、病院ごとに取り扱う高度先進医療の種類が承認されることになっています。がんに関しても、いくつかの検査、治療において、高度先進医療として実施されています。

その他の特殊療法

インターベンショナルラジオロジー(IVR)
モノクロナール抗体 レーザー療法 骨髄移植 その他


【TNM分類とステージ分類について 】

1.TNM分類の目的と意義:
がん患者の診療に当たって、臨床医はまず、診断したがんの発生部位、形状、大きさ、転移の有無などを第三者に分かるように記載する。さらにその後の診療過程で病理組織学的所見、画像診断、腫瘍マーカーなど詳細な情報が追加されるが、このような診療の各時期に得られる情報を、時間的な経過に従って整理し、簡潔に記載しておくことも重要である。これらは、個々の症例の治療法の決定、予後の推定、治療効果の判定、インフォームドコンセントなどに不可欠な情報であるからである。
TNM分類法は、こうした臨床医の日常的診療活動を支援することを目的としているが、同時にこの分類法によってがんの臨床情報の、診療施設間、地域間、国際間、臓器間での情報交換や客観的な比較検討が容易になる。すなわち、世界共通の物差しとなるものである。
2.TNMシステムの概要:
治療前臨床分類(TNM)と外科手術後病理組織学的分類(pTNM)の2種類がある。

a)TNM臨床分類:
T、N、Mで示す。治療前に得られた情報(一般理学所見、血液検査、画像診断、内視鏡検査、生検など)に基づく。

T-原発腫瘍
TX:患者の状態が悪くて検査ができない、検査手段が得られない、などのために情報が不十分で、原発腫瘍の評価ができない場合のTカテゴ
リーである。いか、NX、MXも同じような状況を示す。
Tis:carcinoma in situ を意味し、消化管の粘膜内がんにも拡大表現している。
T0:occult cancer (潜在がん、隠蔽がん)をいう。分泌物からがん細胞が検出されても原発巣が発見されないがん。
T1、T2、T3、T4:原発巣の大きさ、壁深達度、隣接臓器への浸潤など、局所的な進展の度合を、通常4段階で示す。数が増すことは進展度が高いことを示す。
N-所属リンパ節
所属リンパ節は各臓器、領域、あるいは部位でそれぞれ定義指定されている。
NX:リンパ節の評価不能 N0:所属リンパ節転移を認めない
N1、N2、N3:所属リンパ節転移の程度を三段階で示す。所属リンパ節よりも遠隔のリンパ節への転移は遠隔転移(M)に分類する。
M-遠隔転移
MX:遠隔転移の評価不能 M0:遠隔転移なし M1:遠隔転移あり

b)pTNM病理学的分類:
治療前に得られた情報に基礎を置くものであるが、手術や切除標本の組織学的検索で得られた知見により補足される。
pT、pN、pMはおおくの部位では、T、N、Mに準じて分類される。ただし、例外もある。

c)G-病理組織学的分化度:
GX:文化の程度の評価不能
G1:高分化 G2:中分化 G3:低分化 G4:未分化
3.臨床病期(ステージ)分類とTNM分類:
癌の進行度(ステージ)は、TNM分類から、だいたいは下の表のように0期~・期に分類されます。ステージ分類の振り分けは、臓器により多少の違いがあります。期は早期がん、期は進行がんです。
→  進 行 度  →




転移 M0 M1
リンパ N0 N1 N2 N3 -
Tis - - - -
T1
T2
T3
T4