自分の身体を知る

血液・免疫

データ・機能

春になると花粉症に悩む人がいますね。私たちの身体は防御反応が備わってお り、体内に侵入した細菌やウィルス、毒素などの異物を排除しようとします。しかし、時にその反応が過剰にはたらきすぎて、身体にとって不都合な反応となる ことがあります。これをアレルギーといいます。 俗に言う花粉症もこのアレルギー反応によるもので、花粉症とは、主にアレルギー性結膜炎やアレルギー性鼻炎などの形で現われ、そのアレルギーの原因(アレ ルゲン)が、花粉である場合を言います。
私たちの身体に備わっている防御反応、そのはたらきが「免疫」です。免疫の機能には血液が関わっており、血管はその血液を全身にくまなく供給するための経路となっています。今回は、血液と免疫について取り扱っていきたいとおもいます。
血液・免疫に関する疾患についてはこちらで紹介していますので、併せてご覧ください。

血液・免疫に関する参考データ

全身の血管をつないだ長さ 約9万km(地球2周分に相当)
大動脈の長さ 約45cm~50cm(太さ:内径約2.5cm)
血液の総量 体重の約8%(体重50kgの人で約4,000ml)
赤血球数 男性380万~530万/mm3、
女性330万~470万/mm3
白血球数 4000~8500/mm3
血液細胞の大きさ 赤血球約8μm、白血球約6~14μm、血小板約2~3μm
※1μm=1/1,000mm

血液の成分

抗凝血剤の入った試験管に血液を入れて放置しておくと、細胞成分が、赤血球、白血球と重い順に沈み、血小板は液体成分である血漿のなかに浮きます。
右図参照。

各成分の働き

骨には人体を形成し支える機能の他に血液細胞をつくるという重要な働きがあります。骨のなかにある骨髄が、血液をつくる工場です。骨髄液中には、血液成分のもととなる骨髄幹細胞(多能性造血幹細胞)があり、赤血球・白血球・血小板などの血液細胞をつくっています。このため、白血病など、この造血細胞の異常でおこる病気では、3種類の血液細胞すべてになんらかの異常があらわれます。なお、白血病などの治療で行なわれる骨髄移植は、おもに腰、背中、胸の骨髄液を採集します。血液とは、血漿のなかに血球が浮かんでいる状態です。

赤血球

ヘモグロビンという鉄を含んだ蛋白が含まれています。ヘモグロビンは肺で酸素と結合し、組織に酸素を運びます。

白血球

好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類があり、体内に侵入した異物や老廃物を殺菌したり消化したり、免疫をつくったりします。(→マクロファージ(大食細胞) 白血球の一つが変化したもので、細菌などを食べます。)

血小板

血管の損傷部位に集まって血栓という物質をつくり、出血を止めます。出血の際に血液を固め、止血するには、血小板のほかに、血液の液体成分中にとけている多くの血液凝固因子が順序よく働く必要があります。(血液が凝固するまでの時間は正常で11~14秒です)

胎児の頃には、全身の骨髄で血液成分やリンパ球が作られますが、成長するにつれて骨髄の造血組織は脂肪組織に置きかわり、造血能力はしだいに衰えていきます。造血組織で作られた血液細胞は、毛細血管を経て骨髄中心の静脈から骨の外の血管に流れていきます

血液の肺循環と体循環

心臓の収縮により一定の圧力と速度を与えられた血液は、肺をまわる循環と、そのほかのからだの部分を循環する動脈によって、毛細血管の流域にまで届けられる。そこでガス交換や物質代謝が行われた後、静脈に集められて心臓に戻ります。

肺循環

心臓の右心室から送りだされる静脈血は、肺動脈を通って左右の肺に入り、ガス交換によって酸素を豊かにもった動脈血になる。そしておのおの2本ずつの左肺静脈と右肺静脈により心臓にかえる。つまり肺循環では、動脈には静脈血が、静脈には動脈血が流れているのです。

体循環

肺から左心房にもどってきた動脈血は、左心室から大動脈により肺以外のからだに送られる。心臓を出たところ(大動脈弓)で、まず上半身に向かう3本の動脈が枝分かれする。これらの動脈はさらに分かれて、頭部、上肢など上半身をくまなく灌流します。下半身に向かう動脈は、下行大動脈(胸大動脈、腹大動脈)となり、各臓器、下肢へゆく動脈を分ける。おのおのの動脈は、細動脈から毛細血管にこまかく枝分かれしたあと、静脈血を逆の順序で太い静脈に集め、上下の大静脈、および冠状静脈洞(心臓の筋肉を養ってきた血液のもどり口)となって、心臓の右心房にかえります。

リンパの流れ

リンパは、感染防止の必要に応じて毛細血管からにじみ出し、リンパ管に集められる。リンパ管は、静脈にほぼ寄 り添う形で全身に分布し、胸管などの太い主リンパ管となって首のつけ根で静脈にそそぎます。リンパ管のなかのリンパは、からだの動き、筋肉の収縮などに よってより太いほうへ送られる。リンパ管の各所にリンパ節があり、リンパの濾過器の役目をします。

また、免疫についてはこちらの「情報ボックス」でも取り上げていますので、併せて参考にしてください。

血液・免疫に関する疾患について