大脳には、大脳皮質や大脳基底核などの、私たちの精神活動や運動・行動にとって重要な部分があります。これらの異常は、精神分裂病やパーキンソン病といっ た、深刻な病気を引き起こすことが知られています。また、より一般的な疾患としては脳卒中や脳腫瘍があり、どちらも直接生死に関わるようなものです。そし て、そういった重大な疾患が実は、自覚として軽いと思われていた症状の中に紛れてしまっていることもあるのです。
脳の疾患に伴う症状としては、おおよそ以下のものが挙げられます。
この中でも、特に多くの人が日常的に感じている症状として、頭痛を取り扱いたいと思います。 |
実は、脳自体は痛みを感じない場所なのです。私たちが頭が痛いと感じているのは、頭部の血管や筋肉が拡張・収 縮による刺激を受け、痛みを感じているからです。頭痛は、種類によって痛み方、痛む部位、随伴症状などに特徴があり、日頃から頭痛のよくでる人では自分自 身の頭痛のパターンを把握しておき、いつもと違う性質の痛みが出たときには、医師の診断を受ける方がよいでしょう。
種類 | 特徴 |
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血管性頭痛 | 頭部の血管が拡張によってまわりの神経を刺激するために痛むもので、次の種類があります。
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筋収縮性頭痛 | 頭全体または頭・頚部に現れるしめつけられるような鈍い痛みが特徴的。肩凝り、眼精疲労、精神的緊張などが誘因となる。30歳代以降に好発する。もっとも発生頻度が高い。 |
脳の病気に伴う頭痛 | 脳腫瘍や脳の出血、腫れなどにより、脳をとりまく血管や神経が引っ張られたり、圧迫されて起こる。めまい、神経麻痺、感覚障害、意識障害などの神経症状を伴う。 |
痛む場所 | 痛みの特徴 | 誘因 | 随伴症状 | 考えられる原因 |
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後頭部を中心 とした頭全体 |
最初から経験したことのないはげしい痛みが一瞬にして出る | 過労、高血圧など | 吐き気、意識障害、首すじの強直 | クモ膜下出血 |
特定できない | 反復する発作にともなう痛みで、それほど強くはない | 動脈硬化、高血圧、糖尿病など | とつぜん出現する神経麻痺 | 脳硬塞 |
特定できない | とつぜん出現するはげしい痛み | 高血圧など | めまい、感覚障害、神経麻痺、意識障害 | 脳出血 |
特定できない | 起床前に痛み、起床後はやわらぐ、嘔吐すると軽くなる、日増しに強まる鈍い痛み | いきむとき(痛みがはげしくなる)など | 吐き気、嘔吐、てんかん症状 | 脳腫瘍 |
前頭部 | 眼痛にともなう痛み | 眼圧上昇 | 結膜の充血、瞳孔が開く、吐き気 | 急性緑内障にともなう頭痛 |
頭痛の治療に使う薬には、事前から痛みが起きないようにするもの(予防薬)と、痛みが出てから抑えるもの(治 療薬)があります。どちらの薬が自分に合うかは、診断や症状、体質によって異なります。市販の薬剤を購入する際には文面だけで判断せず、ちゃんと専門医に 相談して自分に合った薬を見つけるのがいいでしょう
今まで、脳疾患の早期発見には有効な診断法がなかったのですが、MRI・MRAにより容易に診断できるようになっています。
病名 | 症状・特徴 |
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脳卒中 | 脳血管が破れたり詰まることによって起こる病気の総称で、発症すると、手足が動かなくなったり意識がなくなったりといった症状が現れます。代表的なものに、血管が詰まって起こる「脳梗塞」、血管が破れて起こる「脳(内)出血」「クモ膜下出血」があります。 |
脳硬塞 | 脳血管が血栓(脳内の血管にできた血の塊がつまること)や塞栓(血の塊が 血流に乗って脳内血管につまること)によって、そこから先の脳組織に血液がいかなくなるために、手足が動かなくなったり、意識がなくなったりします。その 症状は人により異なりますが、痴呆、まひなどの深刻な症状ばかりで、ガンや心臓病についで患者数の多い国民病の1つです。日本人の痴呆は脳梗塞が原因に なっていることが多く、予防が可能です。 |
脳腫瘍 | 脳、髄膜、脳血管など頭蓋内のさまざまな組織にできるすべての腫瘍をまとめて脳腫瘍といいます。 大きく分けると
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