呼吸器系とは体に必要な酸素と、体内でできた不要な二酸化炭素のガス交換を行なう呼吸に関する器官系。戦前においては呼吸器疾患といえば肺結核、肺炎がほとんどを占め死亡率の上位に位置していました。薬剤の発達によりそれらの死亡率は減少し、代わって慢性肺気腫、気管支喘息、肺線維症(間質性肺炎)、慢性気管支炎などが注目されるようになり、高齢化時代の現在では肺癌が代表的な呼吸器疾患となっています。日本における死因は、それまでの結核に代わり、1950年代に脳血管障害が第1位となり、30年近くその状態が続くが、1981年に悪性新生物(からだにできる悪性の腫瘍)が第1位となり現在に至っています。
呼吸器は、鼻腔(→ 鼻)、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺からなっており、呼吸機能障害はこれらの働きのいずれか、または複数が十分に機能しなくなったときに発症します。
走ったあとにはだれでも息が苦しいものですが、ふだんの生活でも息が切れる場合は注意が必要になります。肺が十分に働かず、からだの酸素が不足している場合が多いので、呼吸器の障害が疑われます。しかし、{循環器系}の疾患や肥満、心因性の原因でも息切れの症状はあります。呼吸器の障害で肺が十分酸素を取り込めなくなると、からだの酸素が不足します。息切れを我慢できたとしても、酸素不足が続くとからだにいろいろな影響が現れます。特に心臓への影響により動悸、不整脈などの症状に注意してください。
心臓はその[働き]により、普段から多くの酸素を必要としているので、酸素欠乏に非常に弱く、もし冠状動脈が動脈硬化によって血液がうまく流れなくなると、その血管の周りの組織が壊死してしまいます。血液の届かなくなった心筋は6時間でほとんどが壊死します。これが心筋梗塞です。
そのプロセスは、動脈の管を形づくる外膜・中膜・内膜のうち、内膜あるいは中膜にコレステロールやカルシウムがたまって厚くなり、血管内腔がせばまる、この状態をアテローム硬化といいますが、そこへ血液の凝塊が詰まって(血栓)、とつぜん血流が妨げられ、心筋の組織がやがて死んでしまうというものです。
考えられる病気 | 気になる症状、特徴 |
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自然気胸 |
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肺梗塞 |
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胸膜炎(胸水) |
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肺炎 |
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気管支喘息 |
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過呼吸症候群 (心因性) |
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考えられる病気 | 気になる症状、特徴 |
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肺気腫 |
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結核後遺症 |
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肺繊維症 |
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心不全 |
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睡眠時無呼吸症候群 |
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慢性肺気腫の大半は、長年の喫煙によって、酸素を取り込む役割をはたす肺胞の隔壁が破壊されるため、肺胞表面積が小さくなり、ガス交換機能が低下します。また肺胞の弾力性がなくなり、息を吐き出すことが困難になり、息切れが現れます。専門医による特殊な呼吸管理が必要です。
最も多い原因はタバコです。また若い頃からの慢性副鼻腔炎(蓄膿症)です。特殊な原因として大気汚染や作業環境汚染があります。急性気管支炎の場合、主な症状がセキであるのに対し、慢性ではたん量が多いのが特徴です。はじめは白色ですが、進行すると膿が混じり、量も多くなります。また息切れが顕著になると肺気腫の合併が考えられます。 治療は対症療法、抗生物質が主体となります。
肺の末梢構造を支える線維(組織と組織をつなぐ結合織)が異常に増加し、このために肺全体が硬くなって縮んでしまい、膨らみにくくなることにより肺容量が減少、空気が出入りできなくなり、さらに肺胞の毛細血管の壁が厚くなるためガス交換機能が低下します。
気管および、気管支が外部などからの刺激に敏感に反応して収縮、細くなり「ゼーゼー」という呼吸音を発して呼吸困難におちいる。遺伝的な体質に加え、アレルギーなどが関係する他、心因性のものや環境なども症状の原因と考えられています。そのため、症状に合わせて多様な方法で治療にあたることにもなります。
肺の気管支系にも、肺胞系にも生じる悪性腫瘍。近年、急速に増加しており、男性が女性の3~5倍、60歳代での発病が多い。進行が早く転位しやすいので、早期発見、早期治療が第一です。
呼吸器系の疾患は、循環器系、消化器系疾患と共に3代疾患の1つで、高齢化時代を迎える現代では、肺癌に代表される呼吸器疾患の増加はさらに顕著となることが懸念されています。
呼吸器系の疾患は、循環器系、消化器系疾患と共に3代疾患の1つで、高齢化時代を迎える現代では、肺癌に代表される呼吸器疾患の増加はさらに顕著となることが懸念されています。