免疫について

The 免疫防衛軍

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今年は例年に無い寒波の到来で、風邪をめされた方も多いのではないでしょうか。かくいう私も自分の免疫力の低下に驚くやら、あきれるやら。この寒空の中、半ズボンで元気に登校する小学生を尻目に、『おじさん免疫もっと頑張れ!』と、励ますことしきりです。 というわけで、今回は『The免疫防衛軍』と題して、免疫に渇!です。 インターネットの、わかりやすい説明を引用しながらお届けします。

わたしたちは、自分と自分以外のものを区別することで自分の体を守っています。免疫という言葉の由来が、「疫病(病気)を免れる」というところからきているように、体内に侵入した病原菌は「自分ではないもの」として認識され、体内から排除されていきます。自分とは区別された「他者」をみきわめ、それが「わたし」の中で勝手に振る舞うことを許さないのが免疫系の仕事です。免疫系は「わたし」が「わたし」であり続けるために必要不可欠なしくみなのです。

 免疫系は体内に侵入したことのある「自分以外のもの」を覚えています。この場合の「自分以外のもの」とは、わたしたちの体を病気にしてしまうウイルスやバクテリアのことで、免疫学ではこれらを抗原(こうげん)とよびます。免疫系は、一度感染したことのある抗原との戦い方を記憶しているので、症状が重くなる前に体内から撃退することができます。身近な例としては「はしか」や「水ぼうそう」などが挙げられます。これらの病気に一度かかると、通常二度とかからないのは、その記憶力のおかげなのです。

 わたしたちの体を構成する細胞には、ひとつひとつに「わたしの一部である印」がついています。このため、この印がついていないものは自分以外のものとして認識され排除されていきます。ヤケドを例にとって考えてみましょう。ひどいヤケドをして皮膚を移植しなければならなくなった場合に自分の皮膚を自分に移植したとします。この場合には、「わたし」を示す印がついた皮膚なので移植は成功します。しかし、他人の皮膚を移植した場合には、異なる印がついているので、わたしの細胞の社会から追い出されてしまいます。もしも免疫系がなかったら、「わたし」と「あなた」の境界線はあいまいになってしまうのです。

わたしたちは、ウイルスや細菌、目に見えない有害な物質などの抗原に囲まれて暮らしています。これらの抗原は、わたしたちを病気にしようとたえず体内に侵入するスキを狙っています。このような環境の中でも健康な体を維持していられるのは、免疫系という防衛システムがわたしたちの体にそなわっているからです。ウイルスなどが体内に侵入すると、まず、常設部隊にあたる「自然免疫系」が撃退にあたり、それでも撃退できない場合には「獲得免疫系(かくとくめんえきけい)」とよばれる緊急部隊が動きだします。下図は、それぞれの部隊に所属する兵隊だと考えればわかりやすいですね。

免疫系がわたしたちの体を守っていることはわかりましたが、体のどこで活躍しているのでしょう。わたしたちの体には右「リンパ管」という管が網の目のように張りめぐらされています。その途中にT細胞やB細胞のたまり場となる「リンパ節」という部分があります。免疫部隊はここで抗原に出会うのです。風邪を引いた時などに「ノドのリンパ節がはれた」という人も多いでしょう。これはT細胞やB細胞と抗原が衝突したために起こる炎症なのです。免疫部隊は、リンパ管にのって全身をパトロールしながら体内に侵入した抗原を撃退します。

インフルエンザなどのウイルスに感染した時、「さて、免疫系でや っつけるぞ」と念じる人はいませんよね。免疫系は、わたしたちがたとえぼんやりしていても、外敵が侵入したとなれば、自分たちで判断して撃退してくれます。すでにみてきたように、免疫部隊にはいろいろな兵隊がいます。それでは部隊に属するT細胞やB細胞、B細胞がつくる抗体(こうたい)がどのようにして誕生するのでしょうか。

 

自然免疫系 生まれつき持っている免疫。 感染を繰り返しても抵抗力は高まらない。

可溶性物質 インターフェロン

敵(抗原)の増殖をくいとめる働き がある。 感染した細胞内で作り出される。

 

細胞 マクロファージ

敵(抗原)が隊内に侵入すると、現 場に駆けつけて、敵をたべてしま う。ヘルパーT細胞に敵の侵入を知らせる。

 

細胞 ナチュラルキラ(NK)細胞


細胞が敵(抗原)に乗っ取られると 細胞もろとも殺してしまう。 敵そのものを認識することはできない。

 

獲得免疫系色々な抗原に感染することで身につく免疫系。 自然免疫系で撃退しきれない場合に動き出す。

細胞性免疫 T細胞

B細胞に抗体をつくらせる(ヘル パーT細胞)、敵に乗っ取られた 細胞を見分けて殺す(キラーT細胞)など、多くの働きがある。

 

液性免疫 抗体

進入してきた敵(抗原)に取り付いて、その働きを失わせる。T細胞の指令を受けて、B細胞で生産・放出される。

 

これらの細胞は骨の中心にある骨髄 (こつずい)で生み出されれていきます。わたしたちの細胞のひとつひとつには、自分の体の一部であることを示す印がついています。ウイルスが体の中に侵入して細胞にとりつくと、この印が変化して、抗原に感染したことを周囲に知らせます。知らせを受けたキラーT細胞はすぐさま飛んできて、敵に乗っ取られた細胞を殺し、感染がそれ以上広がらないようにします。T細胞は敵自体を直接認識することはできません。細胞が乗っ取られ、印が変化してはじめて敵の侵入に気づきます。

わたしたちの体をつくる数十兆個の細胞。驚いたことに、このひとつひとつの細胞に自分を示す印がついています。印が同じなら自分の一部と認めて攻撃せず、印が違えば外敵として体内から排除しようとします。この印は、旗にたとえることができます。ひとつの細胞には6つで1セットの旗が2セット立っています。1セットは父親から、残り1セット は母親から遺伝したものです。この2セットの旗の組み合わせは4種類しかありません。兄弟がたくさんいれば、同じ組み合わせになる確率が当然高くなります。他人の中にも、偶然に同じ組み合わせをもった人間が存在することがあります。旗の組み合わせが同じもの同士では臓器移植がうまくいきます。T細胞は、胸腺(きょうせん)で作られますが、胸腺の中で何がおこなわれているのでしょう。T細胞の元細胞は血管を通して骨髄から胸腺に移動します。胸腺の中では、生まれたばかりのT細胞を自分の一部と出会わせるテストが行われます。そして不思議なことに、自分を攻撃しようとしたT細胞は、あたかも前もってプログラムされていたかのように自ら死んでいきます。この結果、生まれたT細胞のうち95%が自殺することになり、残りわずか5%のエリートのT細胞だけが体内パトロ-ルに参加します。わたしたちの体は本当によくできています。