血液・免疫

ホーム > 健康情報 > 自分の身体を知る > 血液・免疫 > 血液・免疫に関する疾患について

血液・免疫に関する疾患について

代表的な疾患

人体には免疫があり、その免疫反応を引き起こす原因となる物質を抗原といいます。その免疫によって病気を未然 に防いでいるのですが、そのはたらきに伴って、特定の抗原の場合にのみ有害な結果が現れる現象をアレルギーといい、生体の過剰な防御反応の結果と考えられ ます。さらには、何らかの原因で人体を守る免疫機構に欠陥が生じると、これを免疫不全といいます。代表的な例ではエイズがこれにあたります。免疫があるか らウィルスなどの外敵から身を守ることができるのですが、その免疫自体が人体に悪影響を及ぼすこともあるわけです。こちらでは主に免疫に関する疾患につい て取り扱っています。

免疫反応のタイプ

正常な免疫反応

異物である抗原が侵入するとそれに対する抗体ができ、抗原を除去および中和するので生体に障害があらわれません。

自己免疫疾患

正常免疫反応とはべつに、なんらかの原因で自己抗体がつくられ、自己の組織を〈非自己〉として攻撃することで発症します。膠原病(※)と呼ばれる一群の病気がこれにあたります。

※膠原病

その種類はいろいろあり、良く言われる「リウマチ」とは正確には「慢性関節リウマチ」と呼ばれます。他に「強皮症」「皮膚筋炎」「多発性筋炎」「全身性エリテマトーデス(SLE)」などがあります。悪化させる要因として言われているものには「過労・疲労、精神的ストレス、風邪、睡眠不足、紫外線」などが挙げられます。

感染症

感染源となっている微生物に対して免疫反応が増幅拡大しているもので、正常免疫反応の変形と言えます。診断における最終判断にはかなりの時間を要しますが、重症に陥り易い感染症では迅速な判断が必要であり、それには免疫検査が有用です。

アレルギーについて

既に述べましたが、アレルギーとは免疫反応が過剰となり、発疹、発熱、ショックなどの病的状態をつくりだしてしまう場合をいいます。通常は型から型までの4種類に分類されるが、アレルギー検査で言うアレルギーとは型のみを指し、~型のアレルギーは免疫検査の対象となることが多くなります。
型アレルギーは即時型アレルギーとも言われ、血液や粘液中に存在する抗体の一種であるIgE抗体(※)が抗原(アレルゲン)と反応して引き起こす異常免疫反応です

※特定の相手(抗原)とだけ一対一の反応性を持って結合するタンパク質を抗体といいます。抗体は、免疫グロブリン(Ig)と呼ばれ、現在5つの種類があります。

IgG

全免疫グロブリンの80%を占めます。胎盤通過性があるので、新生児では母親のIgGが存在します。しかし、3~6ヶ月で消失します。IgG抗体は一般にIgMより遅れて出現します。

IgM

全免疫グロブリンの10%を占めます。初期に血中に出現する抗体です。IgM分子には多くの抗原結合部があるので、IgGよりも殺菌能などは強いといわれています。

IgA

全免疫グロブリンの10~20%を占めます。IgAには血清中に存在する血清IgAと、唾液、涙、気管支分泌液、鼻汁、前立腺液などに存在する分泌型IgAがあります。

IgE

全免疫グロブリンの僅か0.004%です。IgEは気道、気管支粘膜、リンパ節などの局所で作られます。これは、I型アレルギーを起こすといわれている抗体です。

IgD

全免疫グロブリンの0.2%を占めます。IgDの働きについては詳しく分かっていません。

・型に含まれる代表的な疾患

病名 症状、特徴 原因
気管支喘息
(アトピー素因のある患者に生じたケース
呼吸器の代表的な疾患」を参照。 多くの抗原が原因となりえます。主なものはハウスダスト、ダニ、花粉(ブタクサ、すぎ)。気候に変化、疲労、ストレス等が誘因と考えられています。
アトピー性皮膚炎 掻痒(かゆみ)と表皮の変化が主症状。掻き壊すと血液や黄色い汁が出ることもある。そのままほっておけば雑菌が入り更に悪化します。乳児では2歳頃に自然治癒する場合があり、慢性化することもあります。気温の変化、疲労、発汗、外部刺激で悪化します。 不明な場合が多く、抗原としては埃、食品など。
花粉症 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、不眠、のどが乾く、目の掻痒感(かゆみ)、涙が止まらない、頭痛など スギ、ヒノキ、クヌギ、ケヤキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどの花粉。これらは時期や地域によって異なります。
アナフィラキシー アナフィラキシーとは即時型アレルギーの最重症型のことです。抗原とIgEが反応し、肥満細胞・好塩基球から ヒスタミンなどの物質が急激に爆発的に放出されたために生じます。全身にひどいじんましんが出る、吐き気、嘔吐(おうと)、声が出にくい、息が苦しいなど の症状に続き、血圧が下がっていく激しい全身反応です。(※一度目より二度目の方が激しい症状を伴うので、予防接種などの場合には事前に必ず確認されま す。 ) 薬物(抗生剤・鎮痛解熱剤・麻酔剤・ワクチンなど)
食物(卵、牛乳、魚、食品添加物、エビ、カニ、ソバ、ピーナッツ、野菜、果物など)
昆虫(ミツバチ、スズメバチなど)
運動など。