自分の身体を知る

データ・機能

眼は外部からの光による情報を受け取る感覚器官です。とくにヒトでは全体の情報の約80%を眼で受け取っているといわれています。脳についての詳細ページにもあるように、脳における視覚関係の機能を果たしている部分(領野)は多く、いかに重要かつ大量の情報が眼から脳に伝えられているかがわかります。またその構造、機能は非常に複雑です。そのため、眼の構造、生理、病理について未解明の問題が多々あります。
眼に関する疾患についてはこちらで紹介していますので、併せてご覧ください。

眼の参考データ

大きさ (眼球全体)
直径平均約24mm、前後径約23~25mm
(水晶体)
直径9mm、厚み平均4~5mm
まつげの数 上まぶたは平均170本
下まぶたはその半数ほど
大脳皮質の
神経細胞の数
約140億個(チンパンジーで約80億、アカゲザルで約50億)

位置

眼球は、頭蓋骨にくり抜かれた保護ソケットとも言える眼窩のなかに、脂肪のクッションに包まれておさめられています。
右図参照。

眼の構造、働き

カメラとよく似た構造と言えます。角膜はレンズ保護と光を屈折する無色フィルター、水晶体はレンズ、このレンズは弾力性があり、水晶体を取り囲む毛様体の筋肉が伸縮するのに合わせて厚さを変えます。虹彩はカメラの絞りにあたり、眼球の中に入ってくる光の量を調節する。硝子体はゼリー状の物質で眼の形を保ち、眼房水は水晶体と角膜に栄養を与える。
網膜はフィルムに相当し、そこに投影された影像を電気信号に変えて、視神経を通じて脳の視覚中枢に情報を伝えます。脳では形状や色が別々の領野で判断され、より高次の認識を行う領野で統合されて認識に至ります。

眼瞼(まぶた)

表面は皮膚、裏は粘膜からなっています。健康な目の表面を維持するために重要で、汗やゴミ、強い光、その他の異物が目に入るのを防御して目を保護しているほかに、瞬目(まばたき)によって涙を角膜の表面に均一に広げます。

角膜

角膜は身体の中で最も透明な組織で、外界の像を眼内に取り入れる窓口として機能を果たしています。直径は約11mm、眼の屈折力全体の65%を担っています。ですから、焦点を合わせる主力は角膜に依るところが大きく、レンズにあたる水晶体はその微調整をしているだけ、ということになります。角膜は基本的には血管のない組織であり前房水や涙液により栄養を補給されています。
水晶体‥‥円盤状で、毛様突起から伸びている毛様小帯(チン小帯)という糸状の物でハンモック状につり下げられています。この水晶体は調節を司る部分でその厚みは調節によって変化します。35歳頃から水晶体は黄色調になり、太陽光線の紫外線が影響しているのではといわれています。

網膜

眼球壁の最内層を構成している薄い膜で組織学的に10層に分けられます。網膜にある視細胞には暗いところでは働くが色を感じない杆体細胞と、明るいところで色を見分ける錐体細胞があります。光が少ないところでは杆体細胞しか働かないから、色も小さいものも見えづらくなるというわけです。
涙腺、涙‥‥眼球の少し上、眼窩の内側、目尻に寄ったところに、アーモンドの形状をした涙腺があり、そこから涙が出されます。涙は抗菌物質を含み、眼瞼と角膜の間の潤滑油の役目と、異物を押し流したり、悲しさやくやしさなどの感情の表出の手伝いをします。

ほほえみ細胞?

大脳の働きは場所によって異なります。19世紀前半までは大脳皮質は場所によって機能が違っていないとする見方が主流でしたが、フランスの外科医ブローカによって脳は場所によって機能が異なる(機能局在)ことが証明されたことは脳の詳細で述べた通りです。

それから一世紀を経て、1968年のある日、ハーバード大学の心理学研究室で、グロス、ベンダー、ロカミランダらは、サルの側頭葉からニューロン活動(神経細胞活動)を記録していました。当時は第一次視覚野のニューロン活動の特徴が明らかになってきた時期で、すでに大脳皮質の視覚野のニューロンが線分の傾きに選択性を持つことが良く知られていました(つまり特定の傾きに対してのみ反応するニューロンがある)。グロスらは白や黒の長方形を用意してその傾きをあれこれ変えながらテストしていた。その日記録した特定のニューロンでは第一次視覚野のニューロン活動のテストによく使われる長方形の光刺激にはほとんど反応しませんでした。そこで、彼らのうちの一人が、このニューロンを諦めて、次のニューロンに移ろうと、スクリーンの前で、「サヨナラ」の手を振った。とたんにこのニューロンは激しく反応しました。そこで彼らは、紙をいろいろな形に切り抜いて、そのシルエットをスクリーン上に写しました。2時間近くもの間、いろいろなシルエット図形をテストした結果、そのニューロンはサルやヒトの手の形のシルエットに最もよく反応することが確かめられました。

単一ニューロンのレベルで機能が局在する仮説を、「認識ニューロン」仮説、あるいは、「おばあさん細胞」仮説と呼ばれている。脳には、「おばあさん」を認識する機能を持つ「おばあさん細胞」があり、「りんご細胞」や「ほほえみ細胞」、「顔細胞」などもあります。

眼に関する疾患について